版画を見ていると、作品の端に「12/100」や「AP」などといった数字や記号が書かれているのを見かけたことはありませんか？
それこそが「エディション番号」と呼ばれる、版画の価値を左右する大切な要素です。
エディション番号は、作品がどのくらいの数だけ刷られたのかを示す“証”のようなもの。
特に「AP（Artist’s Proof）」や「HC（Hors Commerce）」といった特殊な表記には、コレクターの心をくすぐる秘密が隠されています。
この記事では、そんな版画のエディション番号の意味をわかりやすく解説し、
APやHCがどんな位置づけにあるのか、そして市場でどのように評価されているのかを丁寧にご紹介します。
これを読めば、あなたも版画をもっと深く、そして楽しく味わえるようになりますよ！
はじめに：なぜエディション番号が重要なのか
版画を楽しむ上で欠かせないのが、エディション番号の理解です。
この番号は、作品の希少性や作家の意図を知る手がかりになり、版画鑑賞をより面白くしてくれます。
数字や記号だけでなく、その背景にある意味を知ることで、作品への愛着もぐっと深まります。
エディション番号とは？基本の意味を知ろう
エディション番号とは、版画が何枚刷られたかを示す番号のことです。
例えば「12/100」と書かれていれば、100枚のうちの12枚目という意味になります。
単なる番号に見えて、実は作家の意図や版画の希少性を示す大切なサインです。
通常版（Edition Numbered）とは
通常版とは、一般的に販売される版画で番号が付いているものです。
「○/○」という表記がされており、最初の数字がその枚数、後ろの数字が総刷り枚数です。
数が少ないほど希少性が高く、コレクターから注目されやすい特徴があります。
「○/○」の表記の読み方
例えば「5/50」とあれば、50枚作られたうちの5枚目を意味します。
この順番自体が価値を決めるわけではありませんが、初期の番号は状態が良いことも多いです。
数字の意味を理解するだけで、版画の背景がぐっと見えてきます。
数が少ないほど価値が上がる理由
版画は枚数が少ないほど希少性が高くなります。
少ない枚数でしか手に入らない作品ほど、コレクターや愛好家からの注目度も高まります。
希少性を知ることで、作品の見方や楽しみ方が変わってきますよ。
特殊エディションの種類と意味
通常版以外にも、作家や印刷者の特別な意図で作られる版があります。
これを「特殊エディション」と呼び、それぞれに独自の意味があります。
特にAPやHCは、版画をより深く理解する上で欠かせない存在です。
AP（Artist’s Proof／作家保存版）とは
APは作家自身が保存するために刷った特別な版です。
通常版と同じデザインですが、コレクターにとっては特別感があり人気があります。
作家の確認用として刷られるため、状態が非常に良いことも多いです。
HC（Hors Commerce／販売外版）とは
HCは商業販売用ではない版で、展覧会やギャラリー用に作られることが多いです。
「販売用ではない」という意味ですが、希少性や特別感が魅力です。
作家や印刷所の事情でしか手に入らないことが多く、注目度が高い版です。
PP（Printer’s Proof／印刷者保存版）とは
PPは印刷者自身が保管するための版です。
作家ではなく印刷者が保存するもので、印刷技術の証明や管理用として使われます。
希少性はありますが、APほど作家の意図が反映されるわけではありません。
TP（Trial Proof／試し刷り）とは
TPは試し刷りの意味で、完成前に刷った版画です。
微妙に色や紙質が異なることがあり、コレクターには面白いバリエーションとして人気があります。
完成形とは違う一点ものの面白さが魅力です。
BAT（Bon à Tirer／刷り見本）とは
BATは作家が「これで刷ってよし」と確認した見本の版です。
ここから通常版が刷られるため、作家の最終意図が反映された特別な存在です。
作家の手元に残ることが多く、希少性も高いです。
各エディションの市場での評価
特殊版は一般の通常版よりも価値が高いことが多いですが、
必ずしも数字や記号だけで評価が決まるわけではありません。
作家の人気や作品の状態、サインの有無なども重要なポイントです。
コレクターが注目するポイント
コレクターは希少性や作家の意図、状態を重視します。
特にAPやHCは、手に入れること自体が難しいため注目されやすいです。
版画の世界では「希少性＋作家の関与度」が価値の決め手になります。
APやHCは本当に価値が高いのか？
APやHCは特別版として人気ですが、必ずしもすべて高価になるわけではありません。
作家の知名度や作品の人気、枚数の少なさなど複数の要素が評価に影響します。
価値を見極めるには、単なる記号以上の情報を理解することが大切です。
エディション番号とサインの関係
サイン入りの版画は、作家が直接関与した証として信頼性が高まります。
エディション番号とサインをセットで見ることで、作品の価値や魅力をより深く理解できます。
サインがあるかないかで、鑑賞の楽しみ方も変わってきますよ。
作家直筆サインが持つ信頼性
作家直筆サインは、作品の真正性を示す大きな要素です。
番号だけでは伝わらない作家の関与が感じられ、コレクターの心を掴みます。
状態が良く、番号とサインが揃っていると、作品の見栄えも格段に良くなります。
サイン入りとサインなしでの価格差
サイン入りはやはり特別感があり、コレクターの注目度も高まります。
同じ番号でも、サインがあることで鑑賞価値がぐっと上がることがあります。
版画の楽しみ方としても、サイン入りは見逃せないポイントです。
偽造防止と証明書（Certificate of Authenticity）の役割
版画は希少性があるため、偽造を防ぐ工夫もされています。
Certificate of Authenticity（証明書）は、作品の真正性を保証する大切な書類です。
版画をより安心して楽しむためには、この証明書の存在もチェックしておきたいですね。
有名作家のエディション例
シャガール、ピカソ、草間彌生などの作品には、それぞれ独自のエディションがあります。
APやHCなどの特殊版は、作家の意図や版画の制作過程を知る手がかりになります。
具体例を見ると、版画の世界がぐっと身近に感じられますよ。
エディション番号の保管と取り扱いの注意点
版画は紙媒体なので、湿気や日光に弱く、保管には注意が必要です。
番号やサインが消えたり傷んだりしないよう、額装や保護フィルムで管理するのがおすすめです。
美しい状態を保つことが、作品を長く楽しむコツです。
まとめ：エディション番号を理解して版画をもっと楽しもう
エディション番号は、版画の希少性や作家の意図を知る大切な手がかりです。
APやHCといった特殊版の意味を知ることで、作品の見方や楽しみ方がぐっと広がります。
版画の世界をもっと深く味わうために、番号や記号に込められた意味をぜひ覚えておきましょう！
